まちへの想い

  • さあ、新しいまちへ!
    須崎エリアリノベーション

    2020年から
    「ふるさとの未来貢献パートナー協定」を締結し、「海のまちプロジェクト」を推進している
    須崎市と高知信用金庫。

    プロジェクトをリードする楠瀬耕作須崎市長と、山﨑久留美高知信用金庫理事長に、この取り組みの経緯とそれぞれのまちへの思い、これからの須崎について聞きました。

    ―海のまちプロジェクトが始まった経緯についてお聞かせください。

    楠瀬 最初は、須崎市の公金の収納や支払いを取り扱っていただく指定金融機関になっていただくようお願いしました。指定金融機関は手間がかかって大変なのですが、「創業地への恩返しに」とお受けいただきました。それをきっかけに、庁舎の改修、まちの発展にもご協力いただけることになりました。
    山﨑 指定金融機関として庁舎の中にATM出張所を出すことになり、その際に庁舎改修が課題になっていると知りました。ちょうど高知信用金庫本店のリニューアルの時で、再利用できるカウンターなどの什器があったので、改修のお手伝いをさせていただきました。
     その申し出をした際、市長が図書館をまちの起爆剤にし、魚市場をリニューアルする構想をお持ちでした。「それじゃあ、魚市場と図書館の間をつなぐ商店街を、人が集まる場所にする必要がありますね」と言って、一緒に立ち上げたのが海のまちプロジェクトです。

    ―高知信用金庫が資金面で全面バックアップしています。その「恩返し」の思いについてお聞かせください。

    山﨑 高知信用金庫はこのまちで須崎信用金庫として創業し、2023年1月に100周年を迎えました。もともと須崎市には須崎東支店と須崎支店の2店舗があり、経営効率化のために1市1店舗化を進める際、山本正男終身名誉会長が「商店街がさみしくなってはいけない」と、須崎支店を残す選択をしました。さらに、葉山支店と統合して「須崎つのやま支店」とし、地域の人々が集うプラットフォームとしてリニューアルしました。「心のふれあいを大切にする高知信用金庫を創る」を提唱し、「地域貢献こそが信用金庫の基本」としていた会長。その思いを実現するために、「本業、地域貢献。」というテーマを掲げました。100年目の大きなミッションであり、そこに海のまちプロジェクトも含まれています。

    ―プロジェクトを始める前の須崎は、どんな印象でしたか?

    山﨑 須崎の方はみなさん、「なんちゃあない」とおっしゃいます。不思議に思い、市長に昔の写真と須崎市史をお借りして読んでみると、京都に縁があり、神様がいっぱいいる。海上花火、浦ノ内の景観などいいものがたくさんあり、これから魚市場と図書館もできる。マニア垂涎の工場風景、鉄道ファンにはたまらない跨線橋など、推せる素材もある。「いやいや、あるやんか!」と楽しくなりました。
    楠瀬 理事長のおっしゃる「いいもの」に、私もまちの人々も気づいていませんでした。栄えていた頃に比べると人もまばらで、人々の喪失感は大きかったです。

    ―JR須崎駅のリニューアル、須﨑大漁堂のオープンと、まちにいろいろな変化が見えて来ました。まちの人々にはどのように映っているでしょう?

    楠瀬 中心市街地活性化協議会が、この商店街で日曜市をやっているのですが、出店者が高齢化してだんだんお店が減ってきているんです。それをなんとかしようと、「わくわくサンデー」という取り組みが始まりました。お客様も多くにぎわっています。大漁堂ができて、「よし、やろう!」という機運が高まっているのが目に見えます。
    山﨑 駅前や商店街を歩いていると、まちの人が「おう!」「こんにちは!」と声を掛けてくれるようになりました。時には握手を求められたり(笑)。私もこのまちの一員になれたようでうれしいですね。

    ―今後さらに盛り上がっていくと思いますが、どのような未来を描いておられますか?

    山﨑 高知信用金庫が推進している「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」で、須崎をモデルにしたアニメ、「海のまちの物語」を制作中です。その中に須崎の海、工場や跨線橋などが出てくれば、アニメの聖地になるんじゃないかと期待しています。
    楠瀬 3年後には念願の図書館がオープンし、高齢者にも子育て世代にも、子どもたちにとっても、楽しい集いの場ができます。
    山﨑 図書館と魚市場をつなぐシンボルロードには「百寿門」を設置し、須崎市と一緒に図書館、市場、商店街から駅へと回遊できるアトラクション的なまちに仕上げていきます。
    楠瀬 須崎は港中心に発展し、当時はいろいろなところから人がやってきました。そういう意味では、よそ者も拒まないまち。外国の方にも来ていただきたいですね。異文化が入ってくるとますますおもしろくなると思います。一緒に盛り上げていきましょう!