高知美食百選 全品目出そろう 最多は南国市 |
高知美食学プロジェクトが食や観光の専門家らと選考を続けてきた「高知美食百選」の全100品目が決まり、9月18日に発表会を高知市内で開催しました。発表会には、各自治体や各酒蔵、地元メディアをはじめとする関係者の皆さまにもご出席いただき、日本料理の巨匠、野﨑洋光さんによる食のプレゼンテーションも実施されました。高知の食・食文化の深さを改めて認識する機会となりました。 |
■後世に伝えたい100品目選出 |
高知美食百選とは、後世に伝えたい高知の食文化を代表する100品目。県内の市町村から集めた食に関する情報を元に、食や観光の専門家からなる選考委員会が選定するものです。昨年9月には、カツオや田舎ずしなどの25品目を先行発表していました。 |
発表会の冒頭で「高知の食文化の持つ豊かな可能性を、より多くの人々に知ってもらいたい」とあいさつする高知県の濵田省司知事 |
残りの75品目を決めるため、今年7月から8月にかけて一般投票「土佐めし総選挙」を実施しました。その結果を踏まえ、選考委員会が残りの75品目を追加。メジカやぬた、鍋焼きラーメンなど、高知ならではの特色ある食材や食文化の名前が並びました。 |
発表された100品目 |
選考委員の一人、RKC調理製菓専門学校の三谷英子常任顧問は、選定基準について「高知ならではのもの、独自の食文化や料理法、製造方法を持ち、県民に愛されているものを最優先に選びました」と語り、「流通が少なくても価値があるものや、全国的な食材でも高知県が圧倒的な生産力を誇るもの」を中心に選んだといいます。 |
「生産者と消費者の視点を大切にしました」と語るRKC調理製菓専門学校の三谷英子常任顧問 |
同じく選考委員の一人である、高知大学の受田浩之学長は「選ばれた食材や料理には歴史や風土、人々の努力が込められている。その背景を理解し、誇り、広く発信していくことが重要。そして、高知の食の魅力を支えているのは、この自然環境です」と話し、こう続けます。 |
「自然の要素は五つにまとめることができます。空、風、火、水、そして地です。空は天の恵み。太陽の光が植物を育て、風は食材を乾燥させて保存性を高め、味を濃くします。火は調理における切り札であり、カツオのたたきに代表されるように、食材に新たな価値を加えます。そして、水。雨が川となり、海へと注ぎ、自然の恵みをもたらします。最後に地があり、水を吸収し、作物が育つ基盤となります。この五つのフルセットが、高知の食材を独特で価値あるものにしています」 |
「高知には自然の恵みのフルセットがある」と語る高知大学の受田浩之学長 |
■豊かな食文化の魅力再発見 |
高知美食学プロジェクトは、高知信用金庫の創業100周年記念事業として発足しました。 |
高知の食材や料理、食文化が持つ独自性や多様性に焦点を当て、その魅力を歴史的・文化的・科学的視点から分析し、新たなブランドストーリーとして編集・発信。県内外の識者ネットワークを活用して高知の食を「美食学」としてエンタメ化することで、「食の秘境」として話題化し、「食産業の情報基盤」を形成することを目指しています。 |
同金庫の山﨑久留美理事長は、発表会で以下のように語りました。 |
「私たちが当たり前と感じている高知の豊かな自然、海、山、川こそが宝です。1年を通じて旬の食材が存在し、地域特有の文化が息づく、まさに手つかずの『食の秘境』であり、地球上に奇跡的に存在する『食のガラパゴス』と考えています。このプロジェクトの目的は、高知の食文化の価値を磨き上げ、ブランドストーリーを開発することです。食文化のバックストーリーを掘り起こし、高知の食材がなぜおいしいのか、なぜ価値があるのかを再認識し、その希少性と魅力を県内外へ積極的に発信していくこと。私たちは、産官学金の連携を通じて、皆さまとともにこの目標に取り組んでまいります」 |
「新たな高知の食の魅力を発見できることを非常に楽しみにしております」と祝辞を述べる信金中央金庫の髙橋裕司常務理事 |
■最多25品目 金のテロワール賞は南国市 |
当日発表された「高知美食百選」の100品目については、こちら(リンク)の記事をご覧ください。 |
発表された100品目(再掲) |
また、発表会では、百選に選ばれた品目の生産を支え、食文化の伝承に尽力してきた市町村を称える「Kochi Gastronomy City Award」の表彰も行われました。選出された品目が多い上位10自治体を表彰。最多25品目が該当した南国市が金の「テロワール賞」を受賞いたしました。同市の平山耕三市長は「この受賞を契機に、さらに自信を持って市の魅力を発信していきたい」と喜びの声を述べました。 |
受賞した自治体関係者の皆さまの声を紹介します。 |
「たくさんの中から選んでいただきまして、本当に感激しております」と話す室戸市の黒岩道宏副市長 |
「実は全然自信がなかったですが本当に光栄でございます。ありがとうございました」と話す土佐市の板原啓文市長 |
「大変光栄です。ありがとうございます」と話す香南市の濱田豪太市長 |
「選ばれて、驚いております。ありがとうございます」と話すいの町の池田牧子町長 |
「食は命であり文化そして喜びです。ありがとうございました」と話す中土佐町の池田洋光町長 |
「3位ということで感激しております。ありがとうございました」と話す高知市の弘瀬優副市長 |
「私自身は煮ても焼いても食えないが、須﨑市は食が豊か、3位をいただき光栄です」と話す須崎市の楠瀬耕作市長 |
「地域の生産者、加工事業者、そういった皆さんの励みになると思います」と話す四万十市の田能浩二副市長 |
「歴史と文化の中で食文化を育んできた。生産者の皆さんにも報告し、今後も一層、食の生産拠点として頑張っていきたい」と話す四万十町の中尾博憲町長 |
「これを契機に南国市の食を発信し、来年は連続テレビ小説あんぱんも始まりますので、自信を持って皆さまにPRして参りたい」と話す南国市の平山耕三市長 |
■日本料理の巨匠によるプレゼンテーション |
発表の後は、分とく山の元総料理長で日本料理の巨匠として知られる野﨑洋光氏が監修するコース料理「高知美食百選 祝い膳」がふるまわれました。高知の春夏秋冬をイメージし、高知の食材をふんだんに使った料理です。 |
野﨑洋光氏は高知の春夏秋冬をイメージした料理のプレゼンテーションを披露しました |
野﨑洋光氏の紹介映像 |
祝い膳では、日本料理の作法を伝える「ひと椀」に始まり、春夏秋冬それぞれの食材を使った料理が提供されました。 |
「高知は世界に類を見ない、海があり、山があり、川がある食材の宝庫。どきどきわくわくして、食材に恋をしていただいたらありがたい」と語った野﨑さん。大型モニタには高知を代表する写真家、高橋宣之さんが撮影した高知の映像が流される中、野﨑さんによるプレゼンテーションに耳を傾けながら、料理を味わう贅沢な時間となりました。 |
祝い膳は日本料理の作法の実演からスタート |
高知の春夏秋冬をイメージした料理が提供されました |
■奇跡の美食学 第2期は2025年春放送 |
2023年10月から民放3局が合同で放送している「ネイチャーワールド高知 奇跡の美食学」の第2期の放送が、2025年4月から始まります。過去の映像は、高知美食学プロジェクトのYouTubeで公開中。「高知美食百選」に選ばれた食や食文化は、本プロジェクトで更に掘り下げ、テレビ番組やウェブサイトで、国内外に積極的に発信して参ります。 |
また、百選の品目を深掘りして紹介するウェブサイト「土佐めし帖」を2025年1月にオープン予定です。スタジオエイトカラーズによりショートアニメーションも制作中です。ご期待ください。 |
プロジェクトの最新情報はInstagramとXで発信中です。ぜひフォローをお願いします。 |
金のテロワール賞:南国市 (25品目) |
、しらす(ちりめん)、うなぎ、どろめ・のれそれ、やまもも、土佐黒牛、軍鶏、土佐ジロー、しょうが、フルーツトマト(高糖度トマト)、四方竹、りゅうきゅう、葉にんにく、高知なす、ニラ、ししとう、アイスクリン、田舎寿司、さばの姿寿司、けんぴ・芋けんぴ、ひがしやま(干し芋)、皿鉢料理、酢ミカン文化、ねりもの文化、土佐の寿司文化、土佐の伝統野菜 |
銀のテロワール賞:四万十町 (23品目) |
うなぎ、川エビ、土佐黒牛、四万十ポーク、しょうが、土佐茶、ミョウガ、ニラ、原木しいたけ、四万十の栗、中山間ブランド米、天日塩、土佐酒、栗焼酎、田舎寿司、さばの姿寿司、けんぴ・芋けんぴ、ひがしやま(干し芋)、皿鉢料理、酢ミカン文化、タタキ文化、ねりもの文化、土佐の伝統野菜 |
銅のテロワール賞:高知市 (22品目) |
どろめ・のれそれ、うるめいわし、メヒカリ、ニロギ、ツガニ、やまもも、柚子、新高梨、土佐ジロー、イタドリ、四方竹、アイスクリン、土佐酒、田舎寿司、さばの姿寿司、ぼうしパン、いも天、酒盗、皿鉢料理、酢ミカン文化、ねりもの文化、土佐の伝統野菜 |
銅のテロワール賞:須崎市 (22品目) |
ウツボ、鮎、しらす(ちりめん)、うなぎ、メジカ(ソウダガツオ)、養殖カンパチ、ポンカン、土佐文旦、りゅうきゅう、ミョウガ、ぬた、ひやしあめ(しょうがシロップ)、田舎寿司、さばの姿寿司、鍋焼きラーメン、メジカの新子、鰹だしところてん、皿鉢料理、酢ミカン文化、魚の養殖、タタキ文化、ねりもの文化 |
銅のテロワール賞:四万十市(22品目) |
鮎、うなぎ、川ノり、ゴリ、ツガニ、川エビ、柚子、土佐黒牛、土佐ジロー、しょうが、イタドリ、高知なす、原木しいたけ、四万十の栗、土佐酒、田舎寿司、さばの姿寿司、カツオのタタキ、皿鉢料理、酢ミカン文化、ねりもの文化、土佐の寿司文化 |
ノミネート賞:土佐市 (20品目) |
ウツボ、うるめいわし、⾧太郎貝、小夏、やまもも、土佐文旦、新高梨、しょうが、りゅうきゅう、ししとう、天日塩、鰹節(生節・荒節・本枯節)、土佐酒、田舎寿司、さばの姿寿司、皿鉢料理、酢ミカン文化、魚の養殖、タタキ文化、ねりもの文化 |
ノミネート賞:香南市 (20品目) |
鮎、しらす(ちりめん)、どろめ・のれそれ、⾧太郎貝、山北みかん、土佐文旦、しょうが、フルーツトマト(高糖度トマト)、高知なす、ニラ、土佐酒、どぶろく、田舎寿司、さばの姿寿司、中日そば、皿鉢料理、酢ミカン文化、魚の養殖、ねりもの文化、土佐の寿司文化 |
ノミネート賞:中土佐町 (20品目) |
カツオ、メジカ(ソウダガツオ)、⾧太郎貝、しまんとターキー、フルーツトマト(高糖度トマト)、中山間ブランド米、天日塩、土佐酒、田舎寿司、さばの姿寿司、ひがしやま(干し芋)、カツオのタタキ、メジカの新子、鰹だしところてん、酒盗、皿鉢料理、酢ミカン文化、タタキ文化、ねりもの文化、土佐の寿司文化 |
ノミネート賞:室戸市 (17品目) |
鯨、サバ、キンメダイ、マンボウ、ながれこ(とこぶし)、土佐あかうし、りゅうきゅう、ハマアザミ、高知なす、西山きんとき、天日塩、室戸海洋深層水、田舎寿司、さばの姿寿司、皿鉢料理、酢ミカン文化、ねりもの文化 |
ノミネート賞:いの町 (17品目) |
鮎、柚子、新高梨、キジ、しょうが、土佐茶、葉ワサビ、アイスクリン、田舎こんにゃく、土佐酒、田舎寿司、さばの姿寿司、皿鉢料理、酢ミカン文化、ねりもの文化、土佐のもち文化(おやつ)、土佐の伝統野菜 |